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蝶の羽ばたく軌道は
こんなにも
読み辛かったか。
追い掛けて
手を伸ばしても
ひらりとかわされる。
『眞浪さん、そっちです!』
『えぇ!?どこ!?』
マナミは
蝶を見失って
わたわたしている。
『マナミ、じっとしてろ!』
教授がそう言うと
マナミの動きが
ぴたっと止まった。
そのマナミの頭に
教授が
飛び乗った。
『…ぐ、ぉ!』
マナミは
よろめいたが
なんとか踏み止まった。
教授の口には
風鱗と呼ばれた蝶が
くわえられていた。
『せ、せんせ!爪!つめ!』
どうやら
頭皮に
めり込んでいるようだ。
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