第10話

16/25
前へ
/489ページ
次へ
             蝶の羽ばたく軌道は  こんなにも  読み辛かったか。  追い掛けて  手を伸ばしても  ひらりとかわされる。 『眞浪さん、そっちです!』 『えぇ!?どこ!?』  マナミは  蝶を見失って  わたわたしている。 『マナミ、じっとしてろ!』  教授がそう言うと  マナミの動きが  ぴたっと止まった。  そのマナミの頭に  教授が  飛び乗った。 『…ぐ、ぉ!』  マナミは  よろめいたが  なんとか踏み止まった。  教授の口には  風鱗と呼ばれた蝶が  くわえられていた。 『せ、せんせ!爪!つめ!』  どうやら  頭皮に  めり込んでいるようだ。            
/489ページ

最初のコメントを投稿しよう!

636人が本棚に入れています
本棚に追加