第10話

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 引っ捕らえられた  風鱗は  教授の猫ハンドで  押さえ付けられている。  間近でみると  青と緑の色彩が  鮮やかな蝶だ。 『お前が《杯》と言った時点で、盗んだ事は明らかだろうが、愚か者ー』  先程までの  荒々しい姿とは  一転して  いつもの教授に  戻っている。 『雨が嫌で盗んだのかー』 『ソウ…』 『杯どこだー』 『キノ、シタ。ネドコニアル』  教授の指した  木の根本には  くぼみがあった。  その中に  小さな朱塗りの杯が  隠されていた。            
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