第11話・1

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            『あ、チカちゃん、おはよ~』 『おはようございます』  マナミは給湯室で  お湯を沸かしていた  ようだ。 『川口さん、大丈夫ですか~?』 『はい、お蔭様で』  川口と呼ばれた男は  サラリーマン風の  身なりだった。 『さっきこの近くで倒れてるのを見つけてね、ここに運んだのよー』  確かに川口は  顔色が良くない。  何か思い詰めている  雰囲気がある。 『眞浪さん、とおっしゃいましたよね』 『はいはい』 『そちらは…』 『あ、玉置です』  川口は  一度、躊躇うような  仕種を見せた。 『信じてもらえないかもしれませんが、聞いてほしい話があるんです』            
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