第3話・1

6/15
前へ
/489ページ
次へ
『俺としては、らしいとしか言えない。でも目撃者が数人いるんだ』 『な~るぽ~ろめぇ~』  気の抜けた返事に  沢矢はマナミを  書類で叩いた。 『協力してくれ』 『んん~いいよ~』 『じゃ、明日の10時に』 『あ、沢~』  立ち上がって  早々に立ち去ろうと  していた  沢矢が振り返る。 『チカちゃんも連れて行くね』  沢矢が僕を見る。  僕は話しの流れに  取り残されっぱなしだ。 『…判った。10時だぞ』  そう言って  沢矢は帰って行った。 『土産くらい持ってこいっつーの。カタブツはーげー』  マナミの呟きは  沢矢に聞こえなくて  本当に良かったと思う。          
/489ページ

最初のコメントを投稿しよう!

636人が本棚に入れています
本棚に追加