第3話・1

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 取りあえず  適当なスペースを作り  座ってみた。 『チカちゃんはいつから見えるようになったん?』 『…んんー』  はっきりとは  覚えていない。  幼い頃から  虚空を指差すような  子供だったらしい。 『5歳くらいの時に、死んだおじいちゃんが見えたんですよ。  僕はおじいちゃん子だったから嬉しくて、でも母親に言ったら変な顔されましたね』 『ほぅほぅ』  幼心にも  自分は  人とは違うのだと  感じた瞬間だった。 『眞浪さんは?』 『俺もね~よく覚えてないのよね~』  マナミは  首を掻きながら言う。 『んでも昔は嫌だったね。こんな力、いらねぇと思ってた』  判らなくもない。  例え無害だとしても  見えてしまうのは  キツイものがある。 『まぁ今でも欝陶しい時はあるんですけども~』  そう言うと  マナミは布団に  横たわった。 『少し、寝るかなぁ~。チカちゃんは?』 『ん、まぁ適当に』 『うん、チカちゃん適当だよね~本当にもぉ~参るわぁ~』 『…おやすみなさい』          
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