第3話・1

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『行けるか?』  沢矢が  神妙な面持ちで  尋ねた。 『…行くしかないでしょ~』  車を降りて  人影に近づいた。  体が重くなる。  耳鳴りがする。  胸が苦しい。 『何か伝えたい事はあるか?』  マナミの顔は  いつに無く真剣だ。  人影は少しずつ  マナミに近づいていく。  人影が腕を伸ばした。  それがマナミに  触れると同時に 『…ぅっあ!!』 『眞浪さん!!』 『眞浪!!』  マナミは  倒れ込んだ。  顔は青白く  息がかなり上がっている。 『眞浪さん!!』  手を強く握る。  ひどく冷たい。 『病院へ運ぼう』  沢矢が  マナミを担ぎ上げる。  するとマナミが  薄目を開けた。 『…だぃ、じょーぶよ』 『なわけねぇだろ。死にてぇのか』  僕たちは  車に乗り込み  病院へ急いだ。          
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