【看取り屋】

第３話・１

　マナミの問いに
　沢矢が驚いた顔をする。

『内藤靖、46歳。職業は営業のサラリーマンだ』

『ちっさいおっさん？』

『…そうだな』

『中野さんが殺したのは、そのおっさんだったよ』

　ということは
　中野あずさが
　通り魔殺人の犯人？

『いや、でももしそうだとしても、中野あずさは何故・誰に殺された？』

　通り魔に殺されたのは

　通り魔？

『あとねーって、二人とも聞いてよー』

『あ、まだある？』

『あるわよーちゃんと聞きなさいよねー』

　ぶーぶーと
　文句を言いながら
　バナナオレを飲む。

『また物騒なんだけどね、何人かが死体を囲んでるとこが見えたのよ』

『中野あずさもいるのか？』

『んにゃ、囲んでる奴らの顔は見えなかった。ただ、５、６人分の足が見えた』

『死んでいたのは？』

『知らない人。男だった』

　中野の残留思念の中では
　中野自身を含め
　３人の人間が
　死んだことになる。