第3話・2

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 大型ショッピングセンターの  駐車場の  アスファルトは  ここのところ  降り続いている雨で  黒く光っている。  現場は建物の  陰に隠れた  駐車場の一角。  夜になれば  人通りはなく  街灯も当たらないので  暗がりになるだろう。 『あそこだ』  沢矢が指した方には  小雨を含むように  人影が佇んでいた。 『被害者は八島裕也、17歳。高校生だ。死因は頭部の打撲だが、殴られてから首を絞められている』  僕は近づけずにいた。  殺されてから  間もないせいか  思念の強さからか  体が近づくのを  拒絶している。 『チカちゃん、』  マナミも顔色が悪い。  小雨が体温を  奪っていく。 『俺、ちょい頑張ってくるからさぁ、なんかあったら、よろしくね』 『なんかって…、』 『止めなきゃ、ならんでしょ』  憤っているのだな。  そう感じた。                  
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