第6話

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 風が  吹き抜けた。 『自然や動物が助け合ってるなんて、全部人間の幻想でさ、みんな利害の一致なんだよね。  それぞれが色んな物利用して、自分勝手に生きてるのよ』  マナミは  携帯灰皿を取り出し  煙草に火をつけた。 『俺はそれが生きる本能なんだと思う。それをさぁ、《助け合い》なんてキレイ事で片付けるあたり、おかしいよねぇ』 『罪の意識から、逃げてるんじゃないですかね』 『うん。木ぶった切って、空気汚して、変なモン作りまくって、それを片付けらんなくてさ』  まるで  子供のような  無知さだ。 『やる瀬ないよね、こんなの』  桜を  守りたいのも  切り倒したいのも  同じ人間。 『自分勝手になりきれないのは、人間が自然界に必要とされてない証な気がしてならないのよ』  桜は  この話を  どう感じるだろう。          
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