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「そういえば、四番はどうしたの? いつもならとっくに来てるのに」
「あいつは今頃、帝都にいるだろうな。前から召集が掛かっていたらしく、お前等が施設を壊していた時にはもう出て行ってたよ」
『軍神』四番。
本名は不明で、ブリザードに入隊する前から、ルグジーン帝国軍に所属していた軍人。
いつもシンを(主に胸を)からかっているおおらかでお調子者なのだが、戦いとなると冷徹な軍人へと一変する。
彼女が率いる少数精鋭部隊、『剛雷』は帝国内でも有名であり、そのせいか召集がかかるのも少なくはないのだ。
「でも、珍しいわね。私達に何も言わないで出てくなんて」
いつもならば、シンには必ず一言言って行くというのに、それは無かった。
それほど急いでいたというのだろうか。
「何か、分かったのかもしれないな」
それまで無言だったルフドが、コップを置いて呟く。
「それって、ベルについて?」
四番を所属させている以上、帝国もベルの存在は知っている。
以前、四番は帝国にも何か裏があると言ったことがあったのだが、それを見つけたのだろうか。
「または、あのルダの横にいた二人の剣士の行方かもしれないな」
ベガとカミルと呼ばれていた二人の剣士。
三年前の戦いの後、彼らの行方は未だに分からない。
スノウギルを出たのであれば、帝都に逃げ込むのも不思議では無い。
帝国に裏があれば、尚更だ。
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