変ワラナイ世界

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「はーい、ミミカ様を腐った目で見やがったみなさーん。ちょっと前、出ろ?」  にっこりと満面すぎる笑顔を浮かべて、こちらは黒い燕尾服を着ている黒髪の男が、ぎしぎしと音をたてて両手を握る。  機械で出来た両腕は照明を浴びて鈍く銀色に光り、それぞれの指の先にはぽっかりと穴が開いていた。 「バレル。残念ながら殺しはなしだ」 「えー? 自分的には手足の一本ぐらい消し飛ばしたいのですが……」 「だっ、ダメですよバレルさん! 怒りますよっ!!」  ミミカに止められては仕方がないと思ったのか、一度だけキースと共に客達を一睨みするだけに止めた。  睨まれた客達がすっかりと意気消沈して、すごく静かな朝食を味わっている。  『死神』キース・リキッドと、両義手型銃火器『銀刺砲』を備えたバレル・ロック。  そこらの犯罪グループなど手も足も出ない二人組に逆らおうなんて考えを持つ者など、よっぽどミミカに惚れた偏執狂か命知らずだろう。  実際、シンがまさに命知らずだったのだが、当の本人は遠くから舌を出してあかんべをしている。  反省と自重という字はシンの辞書にはないのだろうか……。
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