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「そっちに行ったぞ!!」
「憶するな! 相手は二人だぞ!!」
とある研究施設として使用されていた古びた工場。
そこでは現在、無数の銃撃が乱舞していた。
けたたましい音と光の群れが右へ左へと飛び交って行き、幾人もの武装した人間が駆け回っていく。
明らかに、ただの研究所らしからぬ武装体制であった。
「忠告してやる。死にたくなければ、逃げろ」
二十人はいよう敵の中心で、着地したルフドが視線を巡らせる。
だが、周りの者達は聞く耳など持たずに、それぞれが携えた銃火器を一斉にルフドへと向けた。
「残念だ……。本当にな」
一瞬だけ目を伏せ、次に開いた時のルフドの目は、燃えるように紅いというのに凍て付いた光を帯びた。
それと同時に、ルフドの身体に複雑な紋様が走る。
「『七刻炎鐘』(セブリエ・フレイラ)、発動」
呟いた言葉は無数の銃声によってかき消される。
迫る銃弾がルフドに着弾するその数瞬、ルフドの身体中から大量の炎が吹き出した。
「なっ……!?」
「ぐわぁああっ!!」
炎は渦巻いて特大の火柱と化し、敵が己の放った銃弾の全てを消し炭にされたと分かった時にはすでに、二十人を巻き込んで火柱は猛威を振るっていった。
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