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一方、シンは研究施設内に入り込んでいた。
施設内は白の基本とした壁面や明るい照明により、どこか病院のような印象がある造りとなっていた。
今まで過去に何回かシンが潰して来た研究施設も、どこも似たようなものである。
『シン、今はどこにいるんだあ?』
シンが手に持った携帯から、間延びしている女性の声が流れる。
「今は地下二階ってところよ。四番、ここにちゃんといい情報があるの?」
『分かんないわよ。そこは自分で探しな』
四番と呼ばれた電話の主は薄情なぐらいにそう言って通信を切った。
シンは舌打ちして、コートのポケットに携帯を突っ込む。
「まあ、こんな雑魚ばかりじゃあまり期待は出来ないわね」
そう言い、シンは自分の足下を見下ろしていく。
その周りには、武装を片っ端から潰された三十人余りの敵達が倒れ伏していた。
決して脆くはない防護服はガラス細工のようにどれも粉々に砕かれ、銃などにいたっては原形が分からないほどに叩き潰されているものがほとんどであった。
溜め息を一つついてから、シンは彼らをわざと踏み付けて奥へと歩を進めていく。
上から聞こえて来た爆裂音にかすかな笑みを浮かべつつ、ゆっくりと背に生えた翼を羽ばたかせながら。
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