死章

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「世界を……崩壊した世界の再生を望みます!」 「馬鹿なっ」 その言葉聞いた瞬間カルディアが精一杯の高笑いをする。咳き込みやがて落ち着くと下からブライドを突き上げるようにして視線を向ける。 「そんな事が叶う訳がないだろう。一度崩壊した世界は再生出来ない。出来るのは赤ん坊の世界を産む事だけだ。お前は負けたんだよ!」 「……」 ブライドの言葉に聖女も黙ったままだった。ただ残念そうな表情をしているのはカルディアが正しいという証拠だった。世界の再生は出来ない。それが答えだった。しかし、 「いえ、出来ます。この世界にはまだ皆が溢れていますから――」 そう言ったブライドの背後には沢山の残像、人の姿がそこにあった。ブライドが今まで出逢ってきた人、物、景色……森羅万象が記憶の無限の連鎖が続いて一つの世界が象られていた。それは人々の想いの力だった。それを見せつけられたカルディアは言葉を失った。 誰が敗北者なのか、今此処ではっきりした瞬間だった。
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