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「お父様!お母様!」
その時バルコニーに少年の声と少女の声が響き渡った。間もなくして男の子が母親に、女の子が父親に抱き着いた。そして二人仲良く抱き上げられる。
バルコニー入口にはメイドが控えていたが、お辞儀すると身を引いていった。
「あら、もう支度は終えたの?」
「うん!もういつでも行けるよ!」
「偉いわね。キスをしましょう」
母親は8歳ほどの息子の額にキスをする。
「よしじゃあお父さんもキスをしよう」
「それはいや」
「痛っ」
父親のほうは娘からげんこつを頂くと母親のほうへと巻き付いてしまった。だんだん娘が強気になるのは間違いなく母親譲りだろう。まだ9歳だが、それなりに落ち込んでしまう。
「それでは行きましょう。あとは服を着替えるだけですから」
そういうと子供二人を連れてバルコニーから去る。そう、これから一般人として世界を旅してくるのだ。行き先はまずフロンティア。先日手紙を出したばかりで、皆が集まるはずだ。ただ一匹喋る飛竜を除いて――
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