忘却

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白い。 ただ真っ白な世界が 目の前に広がっていた。 … …ここは……どこ…? ここはどこだ? ここはどこだ? 急に景色がはっきりし始めた。 白いのは……天井だった…。 ここは…どこなんだ? 首を回すと、大きな窓が目についた。 空模様は残念ながら思わしくないらしい。 今度は反対側に首を回してみる。 ベット 白いベット それが3台、壁に沿って並べられているのが分かる。 分かった。 病院だ。 おそらくそうだろう。 …? なんで…? なんで病院なんかにいるんだろうか? そこで、重大なことに気付いてしまった。 思い出せない。 何も。 いや、「何も」なんて言ったら嘘になる。 言葉は何となく覚えているようだし。 自分が誰かは分からないが、女、15歳の女だということだけは分かる。 ただ、それ以外のことは、まるでモザイクが掛かったようにぼやけてしまっている。
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