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「じゃあロウス、何しようとしてるの?」
何故だろう。オレは人にさん付けするのがあまり好きでは無い。
年上に対する態度が尋常じゃなく悪いが、ロウス本人はさん付けされたく無いらしい。
オレみたいに理由がありそうだけど、聞かない方が言いだろうと思ってさん付けを止めた。
「それで良い。何をするかなんて今からわかるさ」
……まぁ大体はわかった。
ナイフをペンみたいに回しながら倒れ込んだアーロクスに近寄り、しゃがみ込んだからだ。
まずは毛皮。アーロクスの毛皮は人気が無いのか? 躊躇無く首にナイフを突き刺して、一気に腹の下まで切り裂く。
そして切り裂いた所に腕をぶち込み、力付く引っ張ると肉がちぎれる音が少し離れたオレにまで届いた。
「アーロクスはほとんどが筋肉。良いダシが出るけど固くて食いにくい」
「さっき食べたのは何処?」
はっきり言って、こんな光景小さい頃から見慣れている。
だからオレは、バラバラにされていくアーロクスを可哀相と思えずに、容易に近づけた。
「慣れてるのか? 内臓付近の肉が美味しい。栄養もたっぷりある」
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