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「ちょ、ちょっと!! それ以上やったら死んじゃいますよ!!」
男を蹴り続けていたら、悲惨な光景に見兼ねた被害者の女が、後ろからオレを羽交い締めで止める。
その時――視界が晴れた。意識が戻ったと言っても良いかもしれない。
頭痛の余韻が残る頭を抑えながら、振り上げた足を地面につける。
深いため息が自然とこぼれた。オレは――止めに入ったのか、止めて貰ったのか……
これじゃあ良くわからないな。オレってこんな性格だったっけ?
もう暴れないと思ったのか、女は羽交い締めを止めてオレを解放する。
自由になった身体で、男に近寄る。しゃがみ込んだだけで再び女はオレを抑えようと体当たりしてきた。
「……痛い……」
オレはおもいっきり身体を床に強打した。
「あ、すいません……で、でもこれ以上はダメです!!」
俯せに倒れたオレの上にまたがり、背中に二つの握り拳を乗せながら耳元で怒られる。
別に暴れないのに……少し切なくなっていると、小さな足音が聞こえてオレの上に何かが乗った。
多分フェニが遊んでいると思って乗っかったのだろう。フワフワした柔らかい尻尾が当たっている。
「とりあえず……よっと!!」
手を伸ばし男が握っていたギルドカードを、拾った。
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