休み

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「ハァー……」 我ながらとても深いため息が自然とこぼれ落ちた。 ため息の原因――それは自分自身の性格。いくら頭にきたからとは言え――オレってあんな残酷だったか? 頭痛かったし……それに、向こうの世界で仕事していた時はあんな感情無かった。 ただただ、機械みたいに仕事をこなし仕事に違和感すら無かったハズ。あんな感情初めてだ。 悩んでいると視界が真っ暗になった。立ち上がっても、背中にずっといて最終的におんぶしているフェニが、手でオレの目を隠したのだ。 「お兄ちゃん、ため息をつくと幸せが逃げるよ?」 目を隠し続けながら耳元で喋るフェニ。 幸せ――まだ幸せか。変なことを考えるのを、フェニの言葉で止める。 フェニの腕を握り、少し遊んでいると手がどいて店員が袋を持って走ってくるのが見えた。 「あ――お金は……足りなかったら、ユウ・クライアン名義で請求でもして下さい」 袋を右手に持ち、床に置いていた袋も持ち直してから店員の方を見るとキョトンとしていた。 耳元でこっそりとオレのランクを話す。すると店員は身を引いて、大きく驚いた。 「荷物重い……コイツも重いとか……」 左手に気絶する男の襟を握り、軽く引きずってから転移をしようとする。 買物袋は持ったし男も持った。フェニは首に腕を回してブラ下がっているからOKだ。 「あ、あの!! 名前を教えてください!!」 最後の最後。転移した瞬間被害者の女が声を上げたが、途中までしか聞こえなかった。
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