休み

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「あぁ……重たかった。なんか疲れた」 転移したオレは荷物を床に、気絶している男を壁にもたれさせて軽くなった身体を大きく伸ばす。 フェニはずっと背中にいるけれど、全然重くない。全く気にならない重さだ。 「疲れたんなら部屋に行けば良いのに」 身体をほぐしていると、この部屋の主――ロウスが話しかけてきた。 振り返ると椅子に座り、机に置かれたカップとお菓子で優雅なティータイムをしている。 これはロウスがいつもしている事らしい。結構な頻度でこの光景を見ている。 ただ――今日は今までとは少し違う。机の斜め向かいに椅子が置かれ、一人の男性がロウスと一緒にいた。 「……また変な事をしたのか? 俺の平和を壊すなよ……」 カップを口に付け傾けながら、横目で意識無く倒れる男を見てロウスが呟いた。 まぁ……様々な依頼で、色々とやらかしたからな。ロウスの気持ちが良くわかる。 「買い物に行ってただけで変な事が起きたんだよ……で、聞きたい事が出来たからここに転移した」 男を指差しながら、さりげなくオレは初対面の男性を見る。 薄い紅色の髪を左目が隠れるように流してあり、瞳の色は薄い茶色。 とても整った顔だ。身体や顔の線も細いし、和やかな空気を出してる……気がする。 何歳なんだろう……若く見えるが、落ち着いた雰囲気が年を少しだけ感じさせるな。
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