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とりあえずシンさんが座っていた椅子に座らされ、フェニを膝に置いて三人でのんびりと話していたら男の叫び声が響いた。
「……紅茶が美味しいな……」
「……そうだね……」
聞こえなかったことにしてロウスの呟きに答えたが、男の叫び声は止む事が無い。
このままだとフェニに悪影響すぎるから、悲痛な叫び声が聞こえないようにフェニの耳を抑えた。
だがフェニは、叫び声に怯む事無くお菓子を美味しそうに頬張っている。
「止めた方が良かったかな?」
フェニの行動に少しビックリしながらも、オレは手を離して紅茶を飲む。
あんな叫び声を聞かされるくらいだったら、止めるじゃなくて店員にそのまま任せた方が良かったかな?
「ん……ギルドカードの悪用は罪が重いんだよ。極刑も有り得る」
お菓子がどんどん減っていく中、ロウスは新しいお菓子を机の上に拡げながら語り出した。
「でも……ランクSSSが罰を与えると、全て無かった事になる。アイツは鮮血の貴公子と言う二つ名の元、汚れ役をやっているんだ」
ランクSSSはそんな事まで出来るのか……改めて、ランクSSSの重さをオレは感じた。
「……狂暴なんじゃ無かったっけ?」
少し疑問に思って聞いてみる。すると紅茶を飲むロウスの動きが一瞬止まり、苦笑いをしながら付け加えた。
「まぁ……アイツは自分から志願したから血が好きかもな」
……全然笑えない。むしろ鮮血の貴公子と言う二つ名から、シンさんの性格が滲み出ている気がする……
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