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あれから悲痛の悲鳴が響く中、少しだけシンさんの事を色々と教えて貰った。
例えば属性は光陰属性の闇と、特殊属性の血。ロウスの考えだと血属性を持っているから血が好きらしい。
シンさんの年齢は27歳。ちなみにロウスは29歳だ。
見た目よりも老けていた。シンさんは見た目だけだと二十代前半に見える。雰囲気は落ち着いた三十代だけど。
家族や親戚などは全くいないらしい。昔起きた戦争に巻き込まれ、天涯孤独の身だったが国に拾われた。
今は一人立ちしてギルドで働いている――いくらなんでもロウスは喋りすぎだと思う。
「でな、ドラゴンの首の筋肉。身体と違って脂が全く無いから女性に人気らしいんだ」
そして話しは大きく脱線をして結局食べ物の話しになった。
悲鳴はまだ響いているのにロウスは気にも止めず、何杯目かわからない紅茶を飲み干す。
「ドラゴンの身体は基本、脂が多いからなぁ……トロトロと柔らかくて最高なんだよ……」
「脂身か……肉ばかり食べると身体を壊すってホント?」
そして話しはオレの言葉で更に脱線をする。
気になることはほとんど聞いたし、別に脱線しても良いや。
「野菜も食べないとな。お前は若いから良いかもしれないけど」
ちなみにオレは16歳。ロウスは明らかに、干支が一回り以上離れているオレを嫉んでいる。
こうなるなら、ロウスに歳など聞かなければ良かった。シンさんの歳を聞いた時、聞き返さなければ良かった……
「とりあえず、フェニも寝ているし部屋に戻るね」
「若いんだから徹夜くらい平気だろ? オッサンとは違うんだから」
初対面の時にロウスをオッサンと言ったことを、まだ根に持っていやがる。
服を握りぐっすりお休み中のフェニをしっかりと抱きしめ、床にある買物袋を持ってオレは転移した。
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