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「今日……疲れたな」
買物袋を床に下ろし、冷蔵庫の扉を開ける。
最初はベットしか無かったが、ロウスが一番良い部屋に変えてくれた。今は冷蔵庫だけでは無く、炊事洋品がほとんどある。
まぁ食堂があるから炊事洋品はほとんど使わない。自分の味が食べたくなったら使えと言っていた。
冷蔵庫の中はからっぽ。その中にお菓子を適当にぶち込む。そして違う袋から、服を取り出した。
お風呂に……入りたいけど、フェニが服を小さく握って離さない。
起こすのも悪い……でもお風呂に入りたかったから、服を脱いでフェニをベットに寝かせてからお風呂に向かう。
脱衣所で服を全て脱ぎ捨てて、大きな鏡に自分の姿が映る。
肉が余りついてない自分でも嫌と感じる華奢な身体――その身体についた忌ま忌ましい傷痕。
肩から斜めに入り、腰まである大きな刀傷。肋骨の隙間を通り背中から出ていった銃創。
お腹を青く彩るずっと消えない殴られた痣。イヤ――蹴られた痣もあるな。
一つ一つに嫌な思い出がある。幼少の頃からこれまでで、蓄えてきた記憶だ。
拳を握り鏡を力強く殴った――澄んだ音と共に、鏡の破片と血が飛び散る。
割れた鏡……ヒビの中に再び移る自分の顔はいつもと変わらないが――涙が頬を伝っている。
オレはまた――鏡を殴った。
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