召喚魔

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足早で歩き始め、どれくらいの時間がたったのだろう。 本当はあまり歩いてないのかもしれなかったけど、サリさんから出る恐怖で疲れ恐ろしいくらい長い時間を感じた。 サリさんは一つの扉の前で立ち止まり、オレも前にいるサリさんにぶつかりかけたけど、なんとか止まれた。 白い扉。少し汚れているが、真ん中にはプレートが埋まっており召喚魔、とだけ書かれている。 「ユウ、ここが召喚魔の契約をする部屋よ」 「召喚魔かぁ……」 ここに来てまだ日にちが全くたっていない。こんなオレでも、上手く契約出来るのかな。 ついつい考え込んだが、サリさんは気にすること無く扉を開いて中へと入っていく。 ……そんなに早く用事を済ませたいのかな。じゃあ早く済ませよう…… 丸い部屋の中、カーテンが窓にかけており全体的に薄暗い。 あるのはロウソクの揺れる光だけ。部屋の中心にはロウソクがグルリと円を成している。 ロウソクの真ん中――すなわち部屋の真ん中には、緻密な計算で創られているであろう魔法陣。魔法陣に線は無い。 読めない文字が弧を描いており一周して最初に繋がり、見たこと無い記号が羅列を成して魔法陣になっている。 ……凄い。こんなの見たこと無い。
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