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「お、この肉凄く美味しい……塩っぽくてなかなか癖になる食感」
気がつけば紙皿の上にある肉は全て食べ終え、知らず知らずの内に箸が石の上で焼かれている肉を突いていた。
肉が焼けるほどの石――オレはここで二度寝しようとしたんだ。後少しでオレもバッチリ焼けてたな。
「お兄……さん。全部食べるね」
「別にいいけど……俺の名前はロウス・クライアンだ。躊躇するくらいなら名前で呼んでくれ。敬語はいらん」
黒いローブの男ロウスは、躊躇しながら無理をしてお兄さんと呼ぶオレに名前を言ってきた。
よほど傷ついているのだろう。先程よりかは立ち直っているが何処か負のオーラが身体を覆っている……気がする。
「ハァ……ここが現実かぁ。仕事楽しくなかったし、環境変わるチャンス……だと思うようにしよう」
認めたくなかったから、後ろに広がる燃える森に背を向けていたが、ここは痛みもあるし感触もちゃんとある。
あんな仕事してたからかな。無駄に焦ること無く、心はしっかりと平常心を保っていた。
うん、あんな仕事しなくても良いんだ。どうやってここに来たかわからないけど、そこは神様に感謝しとこう。
「仕事ねぇ……何の仕事してたんだ?」
「…………この肉美味いねぇ。なんの肉?」
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