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「質問を質問で返しやがった……この肉は、アーロクスの肉だよ」
だって人に自慢出来る仕事なんかじゃない。現実を知らない子供なら、カッコイイ仕事だと思うかも知れないけど、そこまで子供じゃない。
だから聞いてはいけない事だと悟り、愚痴を吐きながらも違う事を言ってくれた事は嬉しく思えた。
「アーロクス……この国の家畜か何か?」
肉を頬張る。気がつけば石の上にある肉はほとんど消えており、焼いてない肉を勝手に捜し始めたら凄く気になるのを見つけた。
石の向こう――オレが横になれるほどの大きな石の裏側に、骨が積み上げられている……
スッゴい見てはいけない物を見てしまった気分。もしかして現地調達?
「アーロクスは……ちょうど良いな、後ろ見てみ?」
見たくない。イヤな予感が尋常じゃないする。だけど勇気を出してオレは振り返る。
そこにいたのは…
黒い毛皮を纏っていてもわかるゴツイ筋肉。丸太並の太い足と太い腕。
筋肉と毛皮が全く似合わない丸くてキュートな顔……
可愛い頭から飛び出している角、よだれを垂らしてベトベトになっている口回り……
わかりやすく言うと熊。
顔が無駄に可愛いけど何故か立派な角が生えてる熊。
そしてよだれを垂らしているって事は目の前にエサがあるからか?
目の前にいるの二人だけで――エサはその内のどちらか?
このままだと食われる?
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