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ちいさい頃に浮かべていた未来じゃない現実の中
あの頃の自分の願いも喜びも思い出せないでいる
写真に写る小学生の女の子の細く弧を描く目元と、大きく横に口を開いた口元
いっぱいに幸せを乗せた笑顔
彼女は私なのか
当たり前であるはずの事実すら埃被った胡散臭さを持っていた
もっと一緒にいるはずだった
背中を押してくれていた温もりが消えて
悲しみに暮れることなく日々を過ごしている
久しぶりにめくった小学校の文集の中に、笑顔のクラス写真と汚い字で書かれた将来の夢
綴られた『親孝行』という言葉を嘘っぱちにしてしまった時間と母の病
どうしようもなかった
本当に?
理不尽だと叫ぼうともしない大人なフリした心
駄々をこねても帰ってこないと知識として知っているから
楽しくて仕方ないと喜びを表す沢山の小さな子供たち
抱くのが嫉妬では可笑しいのだろうか
指が痛むほど強く握ったシャーペンの芯の先で、一箇所を黒く黒く塗り潰した
写る幸せに耐えられなかったのは、寂しいと認めようともしない
大人にも子供にもなりきれないプライドだった
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