メビウスの輪

Ⅰ.故郷

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　みんなからの歓迎を受けた後、私は荷物の整理をしに二年前まで使っていた自室に向かった。

　懐かしい部屋には、配置の変わらない木製のベッドと勉強机。

　そして部屋の中心にはお気に入りの赤い丸机。

　部屋の隅には、テレビＣＭでよく見かける引っ越し屋のマークが設えられたダンボール箱がいくつも積み重なっていた。

　私はそのダンボールの中身から、特に必要な物だけ取り出し、よく言えば素早く悪く言えば適当に片付け終えた。

　ほかにも収納すべきものは沢山あるけど、それは明日改めて片付けよう、という考えをの基に、とりあえず今日は放置しておく。

　そんな事を考えながら、長年使い慣れていたベッドに体を沈ませた。

　体にちょうど合っているベッドがとても心地よい。

　そのせいか、私は徐々にに微睡みの中に迷い込み、知らない内に意識を手放していた――。

　それから、どれだけ時間を経たのかは解らない。

　ただ、浅い眠りの中で誰かが扉をノックする音が聞こえ、私はふと瞼を開けた。