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とは言え、今日は私の誕生日でもなんでもない。
私は目を大きく開き、無意識に大きな声を上げてしまった。
「す、すっごーい! どうしたの?」
お母さんは、使い終えたクラッカーを手に持ちながら答えた。
「何言ってんのよ。ここの恒例行事じゃない」
この『星の家』には、恒例行事がいくつかある。
世間一般の行事はもちろん、何人もいるから規模は小さいけど子供達ひとりひとりのために誕生会もやる。
そしてもう一つ、初めてこの家に来た子のための歓迎会。
これは何故か、どの行事よりも盛大に執り行われる。
あえて言えば、今、私のために行われているこの歓迎こそが、それだ。
「桜が私の所に来てくれたのは、施設経営を始める前でしょ? あなただけは歓迎会をやってなかったから、今回やることにしたの」
言いながらお母さんはクラッカーを机に置き、私に見守るような穏やかな視線を送ってくれた。
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