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今年専門学校を無事卒業し、私は生まれ育ったこの町で、念願の保育士の職に就くことにした。
保育士を職業に望んだ理由は二つある。
一つ目は、昔から子供は好きだし家庭の事情で子供の扱いには慣れていて、この職業は私には天職だろうと、自分で思ったから。
二つ目は、お母さんもかつては保育士をしていて、昔はよくお母さんから保育士時代の話を聞かされた。
そのおかげで自分でも知らない間に、保育士という職業に憧れを抱いていたからだ。
その事を先日お母さんに話したら、お母さんは感極まって泣いてしまい、泣きながら私に、また一緒に暮らさないか、と提案してきた。
本当は専門学校時代同様一人暮らしを考えていた私だけど、泣きじゃくるお母さんを前に断ることも出来なくて、結局育った家に戻る事を決意した。
「桜! 待ってたわよ」
私の他に客がいないバスから降りて、一番最初に私の目に映ったのは、バスの時刻表の隣で満面の笑みを浮かべるお母さんの姿。
わざわざ来てくれたみたいだ。
「ただいま。お母さん」
「おかえりなさい。なんかまた大人っぽくなったんじゃない?」
そう言ってお母さんは、私の両肩を掴む。
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