ⅩⅣ.幸せ

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   半年以上に渡る日記。  それは、ほとんど毎日書かれていた。  細く綺麗な字は、ページをめくるごとに拙くなっていって……彼の日常、病気に対する苦しみ、沢山の想い。  それらが一ページ一ページに、刻み込まれているようだった……。  玲於奈の病室から少し離れた廊下に設けられている白いソファーに座り、その日記を読むお母さんの目からは、一筋の雫が流れる。  私は立ったまま、向かい合う壁に寄りかかり、その様子を静かに見下ろしていた。  私がこの街に来てから、三日が経った今日。  お母さんが突然、玲於奈のお見舞いにやって来た。  
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