ⅩⅣ.幸せ

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 本当は源太先生も来たがってたようだけど、施設に子ども達だけを残す訳にはいかないから、とりあえず今日はお母さんだけで来ることになったらしい。  けれど、お母さんが病院に来たとき、玲於奈は丁度診察中で、今も診察は続いている。  だから私は玲於奈を待つ間、お母さんに玲於奈の日記を読ませてみた。  "どうにか納得してほしい"という祈りを込めて――。 「わからなくなったわ」  涙を流しながら日記を見つめていたお母さんが突然、口を開く。  私は何も答えず、お母さんの言葉の先を待った。 「自分がした事を正しいと思ったことは、一度たりともなかったわ。でも……人として間違っていても、これが一番丸く収まる方法だと思ってた」 「丸く収まる?」  
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