ⅩⅣ.幸せ

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  「玲於奈を見て、嫉妬した」  発する言葉は酷く切ないのに、その目はまるで自分自身を責めるように力強くて、私はなぜかお母さんから目を逸らせなくなった。 「彼らは幸せなのに、どうして私と"あの子"はこんなに不幸なの?って、馬鹿みたいに僻んでた。そんな不純な気持ちでガラス越しにいる赤ん坊の玲於奈を見ていた時……あなたを……というより、あなたの生みのお母さんを見つけたのよ」 「私の……」  生みの……母親?  それは今まで、詳細を何も聞かされなかった人物。  "私を捨てた人"  私の頭の中にはそうとしか、記憶されていない人物だ。 「こんな事、あなたに話すべきじゃないのかも知れないけど……」  言葉を溜めるお母さんを見て、これからお母さんが話そうとしている事が、私にとってあまり良い情報じゃないと、なんとなく推測できた。  だけど、私は笑ってその先を促した。 「私、平気だよ?」  
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