Ⅰ.故郷

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   周辺の住宅よりも広めの敷地に建つ、青い屋根の二階建て一軒家。  周囲を囲む石造りの塀に掛かる小さな看板に、その名が書かれている。 『地方児童養護施設・星の家』  私が育った家。  そして――――  彼と初めて出逢った場所。 「桜ねえちゃーん!」  私が庭に足を踏み入れると、玄関からひとりの女の子が飛び出してきた。  そして、彼女はそのまま私の胸の中に飛び込んだ。 「久しぶりー! ゆっこ、また背伸びたね」  
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