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そして、時が経ち俺は高校2年になっていた。
桜の花は散り、桜の木はすっかり緑に染まった頃のことだった。
その日は朝起きると、すでに8時半だった。
学校まではチャリで40分くらいかかるからすでに遅刻だ。
それでも、早く行かなきゃと急いで制服に着替える。
まぁ、こんなのは遅刻常習犯の俺にとってはいつものことだった。
ひどい時には一週間連続で遅刻したりもしていた。
チャリに乗り、いつもの畑道を走っていく。
学校に着くと、やはり朝のホームルームをやってる時間だ。
やっぱり、何度やってもホームルーム中に教室に入るのは気まずい。
教室に入るといっせいに注目を浴びるからだ。
だが、俺は気にせずいつも堂々と後ろのドアから
入っていった。
たまに遅刻が続く時は、ホームルームが終わるまで廊下で待ってたりしたが、この日は後ろのドアから普通に入っていった。
やはり、皆後ろを向き俺は注目を浴びてしまった。
しかし、この日はいつもと違うことが一つだけあった。
先生の隣に見知らぬ女の子が立っていたのだ。
俺は少し、その場に立ち尽くしてしまった。
「なんだ、古宮はまた遅刻か」
「すいません」
「まぁいい、今転校生の紹介をしてたとこだ。早く席に着け」
転校生?こんな時期に?
そう思いながらも、俺はそそくさと席に着いた。
その時、転校生の女の子と目が合った。
その時、俺はどことなく懐かしさを感じた。
どこかで会ったことがあるような、まるでデジャブ的な感覚だ。
その少女は肩まであるきれいな黒髪を窓から入ってくる風になびかせ、肌は白く、とてもかわいい女の子だった。
ただ少し気になったのが左手首にしているリストバンドだった。
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