第2章~ユメノツヅキ~

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「じゃあ、古宮も来たことだし改めて紹介するぞ」 そう言うと、黒板に少女の名前を書き出す先生。 【町…田…葵】 その名前を見て、俺は驚きとともに心臓がドキドキしていた。 「町田葵さんだ。じゃあ、町田さんから皆にあいさつでも」 「よろしく…」 めんどくさそうに言うその感じは、俺の知ってる葵とはかけ離れていた。 だから、ほんとにあの葵なのかどこか信じられずにいた。 でも、見た目は確かにあの頃の面影がある。 「じゃあ、席は古宮の隣だ」 そういえば気になっていた。 何日か前から俺の隣に新たに机が置かれていたことに…。 葵が近づいてくる。 俺は心臓がはちきれるかと思う程、ドキドキしていた。 一瞬目があったが、すぐにそらされてしまった。 やはり、雰囲気もそうだけどどこか俺の知ってる葵と違う。 俺はおそるおそる声をかけた。 「よ、よろしく…」 しかし返事はなく、しかも少し睨まれたような気がした。 休み時間になると葵の周りにはクラスメート達が群がった。 案の定、質問責めにされている。 葵は誰の質問にも答えず、立ち上がると、ごめん、ちょっと…と言い、教室から出ていってしまった。 クラスメート達はなんか感じ悪くない? 可愛いからって調子のってんじゃん? など好き勝手言っている。 俺は確かめずにはいられず、すぐさま葵のあとを追いかけた。 「葵!」 葵はピタっと立ち止った。 「あ…あの、葵?」 俺は間違ってる覚悟で葵の名前を呼んでみた。 「やっぱしあんただったんだね。なんでこの学校にいんの?」 「え?」 「あたしに話しかけないで、うざいから」 それは昔の葵からは考えられないような言葉だった。 葵は一度も振り返ることなく歩きだし、立ち去っていった。 俺はただ、その場にボー然と立ち尽くすしかなかった。
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