第2章~ユメノツヅキ~

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その日の授業中、隣に座る葵の顔をチラッと見ると、教科書はただ開いているだけで、ノートはとらず肘をつき手に顎をのせて、黒板をボーと見ているだけだった。 チャイムが鳴り、昼休みになると、葵はどこかに消える。 俺は弁当を持ち、哲平と一緒に屋上へと上がっていった。 屋上のドアを開けると、俺はその場に立ち止まってしまった。 葵がいたからだ。 葵はフェンスに寄り掛かりながら地面に座り、パンをほうばっていた。 「どした?早く入れって」 そう言うと哲平は俺の背中を押した。 葵は俺達に気付き、パンを袋に入れて立ち上がろうとしていた。 「あれー?町田さんじゃん」 なんの躊躇もなく葵に声をかけた哲平を少しうらやましく思った。 「こんなとこで一人で食べてたの?せっかくだから俺らと一緒に食べない?」 「遠慮しとく」 そう言うと屋上から出て行こうとしたので、気がついたら葵のことを制止していた。 「待てって。一緒に食べるぞ」 俺は葵の腕をつかみなかば強引にひっぱってきた。 「ちょっと離してよ」 「嫌だ」 「離してって言ってるでしょ!」 「だから、嫌だって」 葵を強引に座らせた。 迷惑そうな表情をしているのがわかったが、俺は気にしないふりをした。 こうして、なかば無理矢理的に3人で昼飯を食べることになった。 「ねぇねぇ、町田さんってユウと幼なじみなんだって?」 いきなり、哲平が無粋な質問を投げ付けた。 その瞬間、葵がなぜか俺を睨みつけたような気がした。 「別に…ただ家が近かっただけだし」 そのあと、少し沈黙が流れた。 「な、なぁ…それより葵、お前パン一つで足りるのか?」 俺は話題を変えようと適当なことを口にした。 「あんたには関係ないでしょ」 「いや、そうかもしれないけどさ、もうちょっと食べた方がいいぜ。俺の弁当半分あげるからさ」 俺は食べかけの弁当を葵の前に差し出した。 「それ、お母さんが作ったの?」 「そうだけど?」 「いらない」 「え?」 「いらないから!」 そう言うと、立ち上がり屋上から出ていってしまった。 「まぁ、気にすんな。町田さん誰にでもあんな感じみたいだし」 「いや、なんか俺は特に嫌われてるような気がする」 俺が嫌われた理由を探してみるが、やっぱり見つからなかった。 俺は、深いため息をついた。
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