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授業中、隠れて携帯をいじって、ただなんとなく電話帳を見ていた。
その時、ある名前のところで目が止まった。
【西坂繭】だ。
俺のもう一人の幼なじみだが、別々の高校に通うようになり、高校生になってからはほとんど連絡をとっていなかったのだ。
繭は知ってるんだろうか…葵が帰ってきたことを…。
放課後になり、繭に電話してみることにした。
「もしもし、ユウくん?」
「そうだよ」
「うわぁ、久しぶりだねぇ。元気してた?」
「元気元気」
「いきなりどうしたの?今まで連絡くれなかったくせに、急に電話してくるなんて」
「え?あぁ、繭は知ってるのか?」
「え?なにを?」
「葵が帰ってきたこと」
「え?!葵が?」
「あぁ、ついこの間うちの学校に転校してきてさ。その分じゃ、知らなかったみたいだな」
「えーっ!!そうなんだぁ。じゃあ、感動の再会とかしちゃったんだ?」
「え、いや…」
「何かあったの?」
「いや、ちょっと長い話になりそうだから、これから会えないか?」
「うん、いいよ」
琥珀亭とという喫茶店で待ち合わせすることになった。
俺は一人、コーラを飲みながら繭を待っていた。
カランという音がして、入口の方を見ると繭が入ってきた。
繭は店の中を見渡して、俺をみつけた。
「ユウくん!久しぶり」
「おう、久しぶりだな。約一年ぶりくらいか?」
「あ~、だいたいそんなもんだね」
「あ、すいませ~ん。注文いいですか?」
店員がやってくる。
「えっと、アップルジュースひとつ」
飲み物を注文すると、すぐさま本題の話に入ろうとした。
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