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「麻奈、話って何?」
ある休日の昼間、麻奈が人の少ない公園に私を呼び出した。
何でも、話したい事があるらしい。
「うん。あのね・・・美沙ちゃんって、隼人君の事が好きなの?」
「な、何で?」
「美沙ちゃん見てたら分かるよ。・・・実はね、私も隼人君の事、好きなんだよ」
「麻奈も?」
「うん。・・・私、美沙ちゃんが親友だからって、こればかりは譲らないよ?だって、きっと私の方が好きになったのは先なんだから・・・!」
そういう麻奈は、真剣だった。
それほど、隼人君が好きなんだって気持ちが伝わってくる。
だけど。
私だって、譲る気はない。
「そんなの、関係ない。どっちが先だったかなんて。私だって、譲る気はないよ。・・・ねぇ、麻奈は何かした?」
「え・・・?いや、何もしてないよ?」
「なら、なおさら譲る気はないよ。だって、好きなのに、何もしようとしてないんだから。私は、さりげなく二人で帰ったり、少しずつでいいから、気持ちを伝えようと努力してきたんだよ。何も努力しない人に、譲る気なんて、ないよ」
「美沙ちゃん・・・」
その瞬間、私たちの絆に。
ひびが入る音がした。
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