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『じゃあ、また明日も遊ぼうね』
『・・・ごめんね。遊びたいのは僕も同じなんだけど・・・、僕の家、お父さんのお仕事で遠くに行っちゃう事になったんだ・・・』
『え・・・』
嘘だといってほしかった。
だって、約束してくれたから。
私の笑顔を守ってくれるって。
『みーちゃんの笑顔、守ってあげるって約束したけど・・・本当は、ずっと一緒にいたいって思ったけど・・・駄目みたい。どうしても、一緒に行かなきゃいけないって』
『そっか・・・。だったら、仕方ないよね』
『ごめんね・・・みーちゃん』
『ハヤ君のせいじゃないよ』
本当に申し訳なさそうに俯く隼人君。
まだ幼かった彼には、家族と一緒に行くという選択肢しかなくて。
どうにもならない運命を、嘆いていたのかもしれない。
『ねぇ、ハヤ君』
『何?』
『いつかまた、会えるよね?』
『うん、きっと会えるよ』
『じゃあ、約束しよう。また会った時、今度こそ、ずっと一緒にいるって』
きっと、その時の私は、別れたくなくて、そんな事を言っていたのだろう。
また会えるなんて、確証もないのに。
『うん。約束する。そして、今度こそ、ずっとみーちゃんの笑顔を守るって。ずっと言えなかったけど、僕はみーちゃんの事、好きだよ』
『あ・・・』
きっと、この時だと思う。
この気持ちが、好きだという感情だという事に気づいたのは。
初めての、恋だった。
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