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『えっと、その・・・。私も、ハヤ君の事、ずっと好きだったよ』
『それなら、絶対また会えるよ。ううん、僕から会いに行く。だから、それまで待っててくれる?』
『もちろんだよ。ずっと待ってる。ハヤ君が会いに来てくれるまで』
『絶対、絶対に会いに行くから』
『うん。信じてるから、ずっと』
涙目になりながら、懐から何かを取り出した隼人君。
それは、私の目の前に差し出されていて。
『これ、約束の印に持ってて』
『綺麗・・・。じゃあ、ハヤ君もこれ、持ってて』
ハヤ君がくれたのは、綺麗なビー玉だった。
私は、その時大切に持っていたお守りを彼に託した。
いつかまた、会える事を信じて。
『じゃあ、またね』
『うん』
幼い頃の小さな思い出。
当時、初めはすごく寂しくて。
それでも、また会える事をずっと信じていた。
けれど。
時が経つにつれて、小さな思い出はすっかり色あせて。
記憶にほとんど残らないほどになっていた。
最近では、ほとんどどころか全く覚えていなかった。
夢を見始めて、ようやく思い出した、思い出。
幼い頃の、大切な思い出が、ようやく今、完全な形となって、私の記憶に甦った。
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