中編

13/14
前へ
/41ページ
次へ
『えっと、その・・・。私も、ハヤ君の事、ずっと好きだったよ』 『それなら、絶対また会えるよ。ううん、僕から会いに行く。だから、それまで待っててくれる?』 『もちろんだよ。ずっと待ってる。ハヤ君が会いに来てくれるまで』 『絶対、絶対に会いに行くから』 『うん。信じてるから、ずっと』 涙目になりながら、懐から何かを取り出した隼人君。 それは、私の目の前に差し出されていて。 『これ、約束の印に持ってて』 『綺麗・・・。じゃあ、ハヤ君もこれ、持ってて』 ハヤ君がくれたのは、綺麗なビー玉だった。 私は、その時大切に持っていたお守りを彼に託した。 いつかまた、会える事を信じて。 『じゃあ、またね』 『うん』 幼い頃の小さな思い出。 当時、初めはすごく寂しくて。 それでも、また会える事をずっと信じていた。 けれど。 時が経つにつれて、小さな思い出はすっかり色あせて。 記憶にほとんど残らないほどになっていた。 最近では、ほとんどどころか全く覚えていなかった。 夢を見始めて、ようやく思い出した、思い出。 幼い頃の、大切な思い出が、ようやく今、完全な形となって、私の記憶に甦った。
/41ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加