前編

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「隼人君、歌上手いんだねー」 「あんまり上手だから驚いたわよ」 カラオケが終わり、麻奈や姫がそう言うと、隼人君はまんざらでもなさそうにしていた。 「そんなことないって」 「いや、ほんとに上手かった」 「・・・俺は、柚希(ゆき)が初●の某電波曲を知っていた挙句、普通に歌ってた事に驚いた」 「確かにあれには驚いたかも・・・」 私も、柚希があの曲を歌った時は随分驚いた。 知ってはいたけど、まさかあれを人前で普通に歌うとは思ってなかったから。 「そういえば、柚希って、歌う曲のほとんどがアニソンだよね?」 「まぁ、普通の曲も歌うけど・・・基本はアニソンかな。だって、好きだし」 「逆に姫は普通の曲が多いわよね」 「いや、だって私あまりアニソンとか知らないし・・・」 「・・・ふぅ。あのね、姫。私たちくらいだと、多少はアニソン知ってる人の方が多いわよ?姫みたいにあまりアニメ見ない人の方が少ないんだから」 「確かにそうだなー。少しくらいは知っててもおかしくないんじゃないか?ほら、あの有名な戦艦の曲とか、某野球アニメの曲とか、少年が神話になる曲とか」 「あの辺はすごく有名だよねー♪」 「アニソンの代表だと思う」 ほんとに、せめて有名所だけでも知っていればいいのにと思う。 でも、そういうのにあまり興味のないところも、姫らしいかなとは思うけれど。 誰が何に興味があって、何を知ってるかなんて、個人の自由なんだし。 だからあまり気にしないことにしよう。
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