前編

9/14
前へ
/41ページ
次へ
あれから、隼人君を見ると、何処か挙動不審になってしまいそうになる。 けれど、いくら考えてもその理由は分からなくて。 もどかしかった。 「美沙ちゃん、どうしたの?最近、ちょっとおかしくない?」 「そんなことないよ」 「本当に?」 「本当だって」 「あ、そうだ。今度のお休み、みんなで遊園地でも行こうかなって思うんだけど、どう?」 屈託なく微笑んでくる麻奈。 その隣には、何を考えているのか楽しそうにしている柚希がいる。 「いいんじゃない、遊園地。どうせ何も予定ないしね」 「僕も何もないし」 「俺も今週末は暇だぜ?」 「遊園地か、随分久しぶりに行くな」 「そうねー、久々だし、何も無いから行くわ」 「やったぁー♪」 嬉しそうに笑う、麻奈。 いつも思うけれど、本当に彼女には笑顔が似合う。 小さな頃からそうだった。 他の誰より笑顔でいて、他とは比べ物にならないほどの笑顔をいつも見せてくれる。 時々思うけれど、天使みたいな子だ。 だからこそ、一緒にいて癒されるんだろうけど。
/41ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加