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それからは簡単に話が進んだ。頼斗はミラージュに入隊をし、特訓をすることになった。
「ハァ、ハァ、今日はこれくらいでいいか?」
「ハァ、ハァ、そうッスね、今日はこれくらいで切り上げるッス」
特訓を始めて約5ヶ月、頼斗は元から武術の心得があったこともあり、今や天無と互角の戦いをするに至っていた。
「……お疲れ様」
霞が頼斗にタオルと水を持って行く。
「俺のは無いんッスか?」
「……」
「無視ッスか!?それは酷くないッスか!?」
天無の訴えを完全に無視し、霞は頼斗の体をタオルで拭いている。
ミラージュに頼斗が入隊してから霞は何故か頼斗を気に入ったらしく、ずっと一緒にいる。このやり取りもこの日が初めてではない。
「ほら天無、水だ」
頼斗が天無に水を投げ渡す。天無はかなり喉が乾いていたのか、霞に無視されたことが悲しいのか、頼斗から受け取った水を一気に飲み干した。
「今日の特訓はもう終わりましたか?」
そんなやり取りをしていると、訓練所の入り口から皐月が入って来た。
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