第二章 1年間……

23/26
前へ
/267ページ
次へ
それからは簡単に話が進んだ。頼斗はミラージュに入隊をし、特訓をすることになった。 「ハァ、ハァ、今日はこれくらいでいいか?」 「ハァ、ハァ、そうッスね、今日はこれくらいで切り上げるッス」 特訓を始めて約5ヶ月、頼斗は元から武術の心得があったこともあり、今や天無と互角の戦いをするに至っていた。 「……お疲れ様」 霞が頼斗にタオルと水を持って行く。 「俺のは無いんッスか?」 「……」 「無視ッスか!?それは酷くないッスか!?」 天無の訴えを完全に無視し、霞は頼斗の体をタオルで拭いている。 ミラージュに頼斗が入隊してから霞は何故か頼斗を気に入ったらしく、ずっと一緒にいる。このやり取りもこの日が初めてではない。 「ほら天無、水だ」 頼斗が天無に水を投げ渡す。天無はかなり喉が乾いていたのか、霞に無視されたことが悲しいのか、頼斗から受け取った水を一気に飲み干した。 「今日の特訓はもう終わりましたか?」 そんなやり取りをしていると、訓練所の入り口から皐月が入って来た。
/267ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2868人が本棚に入れています
本棚に追加