第三章 任務

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「これは?」 頼斗は尋ねながら、差し出されたバッチを受け取った。バッチは炎が燃えているような形をしており、銀色だった。 「それはミラージュの隊員として任務に行くときに着けて下さい。私の炎をモデルに作ったものです」 「なるほど。ミラージュの証明書みたいなものか」 頼斗はそう解釈すると、着ている服の左胸辺りにバッチを着けた。 「では任務に向かって下さい。場所などはこれに書いてあります」 そう言って隊長室の大きな机の上から、一枚の紙を頼斗に手渡した。 「わかった……にしても相変わらず薄暗いな」 頼斗は紙を受けとると、そう言って苦笑いを浮かべながら、隊長室を見渡した。 「仕方ありませんよ、地下なんですから」 そう言うものの、皐月もあまり好きではなさそうだ。部屋には高級な家具が置かれているが、あまり使われている形跡がない。皐月があまり利用しない証拠だ。 「あ、それと頼斗君に1つ言っておきたいことがあります」 そう言って皐月は姿勢を正し、真剣な顔で頼斗の顔を見た。
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