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「頼斗君はまだ敵側には死んだと思われています。なので炎を使わないで任務をこなしてもらいます」
「は!?炎無しでSSクラスと戦えってことか!?」
頼斗の動揺を他所に、皐月は冷静に頷く。
「訓練になりますし、あなたが生きていることが、今向こうに知られれば、こちらに対抗できる程の手段が無いので、簡単にあなたは殺されます」
皐月は冷静な表情のまま、現実を説明するように頼斗に言う。
「もしもの時は逃げて下さい。炎を使うより断然リスクはそちらの方が低いです」
「……わかった」
頼斗は苦い顔をしながらも頷いた。それは自分のせいで学園が襲われた、という事実があるからだ。これ以上被害は出したくないのだろう。
「今回のウルフはSSクラスの中でも弱い方に入ります。なので特訓の成果を確認するくらいの気持ちで行って下さい」
「あぁ、じゃ行って来る」
返事をすると、頼斗は特に緊張した様子もなく、隊長室を出て行った。
「さて、どのくらい強くなったのか見ものですね。頼斗君にはああ言いましたが、実は今回のウルフなかなか強いタイプなんですよね」
隊長室の扉を見ながら、皐月はいたずらっ子のような笑みを浮かべた。
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