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「お出ましか」
そう呟くと、頼斗は双銃剣を取り出し、腰をあげた。そしてそのまま固まった。
目の前にいるのはにウルフ……ではなかった。目の前にいたのは、分類で言うと吸血鬼に分類される、人に近い形をした魔物だった。長く輝くような金色の髪を持ち、鋭い目をした美しい姿だ。見た限り性別は女性だろう。
『何か来たと思ったら人間か……』
その吸血鬼は頼斗を見て、面倒くさそうに呟いた。
「うお、喋った!?」
魔物が喋ることに慣れていない頼斗は、一々驚き声を上げてしまった。
『はぁ、五月蝿いやつだ。』
それを聞き、吸血鬼が顔をしかめる。かなり機嫌が悪いようだ。
「この辺りはウルフが縄張りとしてると聞いたんだけど……」
『あぁ、あの雑魚?さっき邪魔だったから食べたわよ』
その言葉を聞き、頼斗は背筋がゾッとした。ただでさえSSクラスの力はわかっていないのに、そのSSクラスを倒す魔物が目の前に現れたのだ。ここで頼斗は初めて緊張と恐怖を覚えた。
『それで……何をしに来たの?迷いこんだだけなら、逃がしてあげてもいいけど、私を倒しに来たのなら話しは別よね』
その言葉を聞き、頼斗は体の至るところから、汗が噴き出すのがわかった。
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