第三章 任務

8/44
前へ
/267ページ
次へ
「お出ましか」 そう呟くと、頼斗は双銃剣を取り出し、腰をあげた。そしてそのまま固まった。 目の前にいるのはにウルフ……ではなかった。目の前にいたのは、分類で言うと吸血鬼に分類される、人に近い形をした魔物だった。長く輝くような金色の髪を持ち、鋭い目をした美しい姿だ。見た限り性別は女性だろう。 『何か来たと思ったら人間か……』 その吸血鬼は頼斗を見て、面倒くさそうに呟いた。 「うお、喋った!?」 魔物が喋ることに慣れていない頼斗は、一々驚き声を上げてしまった。 『はぁ、五月蝿いやつだ。』 それを聞き、吸血鬼が顔をしかめる。かなり機嫌が悪いようだ。 「この辺りはウルフが縄張りとしてると聞いたんだけど……」 『あぁ、あの雑魚?さっき邪魔だったから食べたわよ』 その言葉を聞き、頼斗は背筋がゾッとした。ただでさえSSクラスの力はわかっていないのに、そのSSクラスを倒す魔物が目の前に現れたのだ。ここで頼斗は初めて緊張と恐怖を覚えた。 『それで……何をしに来たの?迷いこんだだけなら、逃がしてあげてもいいけど、私を倒しに来たのなら話しは別よね』 その言葉を聞き、頼斗は体の至るところから、汗が噴き出すのがわかった。
/267ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2868人が本棚に入れています
本棚に追加