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「(まさか初任務でいきなりハプニングが起きるとは……逃げるか)」
今の状況では頼斗は逃げるしかないと考えていた。本部を出る前の、皐月の言葉を思いだし、頼斗は逃げの体勢に入った。
だが、その隙がいけなかった。
『あら、逃げる気?』
頼斗が警戒の体勢から逃げの体勢に移る一瞬の隙。その隙をつき、吸血鬼は頼斗の視界から外れ、頼斗の背後へと回っていた。
「なっ!?」
頼斗の顔が驚愕の色に染まる。ミラージュに入隊してから、ほとんど毎日天無を相手に戦ってきた。天無はかなりのスピードを持っていたが、今は頼斗もそれと互角だ。つまり天無のスピードなら反応することができる。だが、今自分の背後にいる吸血鬼は、そのスピードをはるかに凌駕する動きを見せたのだ。
「(嘘だろ!?こんな馬鹿げたスピードがあるかよ!?)」
急いで背後を向く。しかし、そこにはすでに吸血鬼の姿はなかった。
「どこに行った?」
『いつまでそっちを向いてるの?』
頼斗が周りを見渡していると、またも吸血鬼は背後へと回り、平然と話しかけてきた。
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