第三章 任務

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「(まさか初任務でいきなりハプニングが起きるとは……逃げるか)」 今の状況では頼斗は逃げるしかないと考えていた。本部を出る前の、皐月の言葉を思いだし、頼斗は逃げの体勢に入った。 だが、その隙がいけなかった。 『あら、逃げる気?』 頼斗が警戒の体勢から逃げの体勢に移る一瞬の隙。その隙をつき、吸血鬼は頼斗の視界から外れ、頼斗の背後へと回っていた。 「なっ!?」 頼斗の顔が驚愕の色に染まる。ミラージュに入隊してから、ほとんど毎日天無を相手に戦ってきた。天無はかなりのスピードを持っていたが、今は頼斗もそれと互角だ。つまり天無のスピードなら反応することができる。だが、今自分の背後にいる吸血鬼は、そのスピードをはるかに凌駕する動きを見せたのだ。 「(嘘だろ!?こんな馬鹿げたスピードがあるかよ!?)」 急いで背後を向く。しかし、そこにはすでに吸血鬼の姿はなかった。 「どこに行った?」 『いつまでそっちを向いてるの?』 頼斗が周りを見渡していると、またも吸血鬼は背後へと回り、平然と話しかけてきた。
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