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「(いったいどうなってる……こんな馬鹿げたスピードありえるのか?)」
頼斗は吸血鬼の方を振り返りながら、なんとか冷静に現状を把握、そして対処をしようと頭を働かせた。
「お前さっきウルフを食ったって言ったな。何で仲間を食ったんだ?」
懸命に考えたことも虚しく、頼斗には現状を打破する策がまったく思いつかなかった。なので、少しでも時間を稼ぐため、話しかけてみたのだ。
『仲間?馬鹿言わないで。あんな雑魚が、私と仲間なわけないでしょ?と言うより私と釣り合うやつなんて、そうそういないわよ』
そう言って不満そうな表情で頼斗を見る。
『あなたはどうかしらね?少しは私を楽しませてくれる?』
そう言うと吸血鬼は目の前から姿を消した。
「(ん?ちょっと待て……今)」
『呆けってるとすぐに死ぬわよ!!』
「ちっ」と舌打ちをし、頼斗は横に跳ぶ。するとさっきまで頼斗が立っていた場所を、吸血鬼の鋭く伸びた刃物のような爪が、風を切って通過した。
『あんまりがっかりさせないでね』
未だ面倒くさそうな口調は変わらず、頼斗を挑発するように言う。
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