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広場の中心まで走ると、頼斗はそこで足を止めた。それを見て、吸血鬼が怪訝そうな表情を浮かべる。
『もう諦めたの?』
吸血鬼がつまらなさそうに、頼斗に尋ねる。頼斗はそれに答えることなく、じっと中心に立ったまま、微動だにしない。
『?』
いきなり頼斗が動かなくなったことが、よほど納得いかないのだろう。しばらく頼斗の方を見ていたが、『ふぅ』と小さく溜め息を吐くと、チャクラムをしまい、戦闘体勢にはいった。
『この程度だったなんて……期待外れね』
そう言うと、吸血鬼はまたその場から消えた。だが、吸血鬼が消える直前に頼斗が動いた。目指すは頼斗の右手の方向。その何もない空間に頼斗は双銃剣を振るった。
『なっ!?』
だが、何もないはずのその空間に、吸血鬼突如が現れた。吸血鬼は驚愕の表情を浮かべている。頼斗の攻撃した場所は吸血鬼より少しずれていたため、簡単に躱されてしまった。しかし、そんなことは問題ではなく、頼斗が吸血鬼の動きに着いていった。それが今の一番重要なことだ。
『いったいどうやって……』
吸血鬼が尋ねるが、やはり頼斗は何も答えない。
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